なぜ、頭でわかっているのにやめられないのか?意味づけが、次の身体をつくる
頭でわかっているのにやめられないのは、意志の強さとは別のところに理由があります。
身体が先に反応し、そのあとで私たちがつけた「意味」が、無意識に残るからです。
そしてその意味づけが、次の身体の反応そのものを作っていきます。
こんにちは。
セラピスト歴27年、自己理解プログラムINSCOPE設計者の、うさみちかこです。
身体が先で、意味は後から来る、とはどういうことか?
私たちは何かを決めるとき、頭で考えるより先に、身体が反応しています。
心拍が上がる。
胃のあたりがキリキリする。
肩に力が入る。
神経科学者アントニオ・ダマシオの「ソマティック・マーカー仮説」では、この身体の反応が「良い・悪い」の信号を先に出していて、頭の判断はその後追いだと考えられています。
この話は、以前こちらの記事に書きました。
今日は、その続きの話です。
身体が反応したあと、私たちは必ず、その反応に意味をつけています。
肩が重い → 「疲れているんだな」
胸がざわつく → 「気のせいかな」
断りたいのに声が出ない → 「ここは我慢するところ・・・私が我慢すれば」
意味をつけたところで、その出来事はいったん終わったことになります。
けれど終わっているのは、意識の側だけです。
その意味づけは、いつ入ったのか?
私自身の話をします。
アロマセラピストだった頃、施術が終わってもお客さまの悩み相談は終わらず、次の予約の時間が迫っても、切り上げられない・・・
その時間は、料金のどこにも入ってない・・・
お客さまを見送ったあと、いつもため息が出ました。
ずっと肩が、痛かった。
当時の私は、それを肉体労働による「疲れ」だと思っていました。
「お客さま優先、断るべきじゃない」と、いつからか決めていたんです。
ため息にも、肩の痛みにも、その都度「疲れ」という意味をつけて片付けていました。
意味づけは変わらないまま、身体だけが積み上がっていきました。
そして最終的に、胆嚢がその疲れを引き受けました。
手術のあと、やっと自分の声を聞いてあげられるようになりました。
あとから振り返って、
身体は、自分の内側からの最後の伝達手段だったということが分かりました。
本当の起点は、もっと前にありました。
だるさにも痛みにも「疲れ」という意味をつけて、何度も同じレッテルを選び続けていた、そこです。
なぜ、頭でわかっていてもやめられないのか?
ここからが、今日いちばん伝えたいことです。
一度つけた意味づけは、そこで終わらず
次に同じような場面が来たときの、身体の設計図になります。
心理学者リサ・フェルドマン・バレットは、
感情は、身体の信号に意味づけがされることで構成されていて、過去の意味づけが次の知覚を予測すると論じています(構成主義的情動理論)。
つまり過去にどう意味づけたかが、次に何を感じるかを先回りして決めている、ということです。
こういう順番になります。
身体が反応する
「これは我慢するところだ」と意味をつける
その意味づけが、意識に上がらないところに残る
次からは、考える前に身体が「我慢の形」をとる
4まで来ると、もう表層の意識は間に合いません。
頭が「今日は断ろう」と決めていても、その場に立った瞬間、身体はすでに引き受ける形になっています。
そして本人は、こう説明します。
「私は断れない性格だから」
性格として体験されているものの中には、繰り返し選んだ意味づけが、身体に定着したものが含まれています。
意志が弱いから、やめられないのではなく、
意志が届く場所より、手前で意味づけが決まっているからです。
意味は、置き直せる
過去に起きた出来事は、動かせないし、変えることはできない。
断れなかった事実も、我慢し続けた年月も、そのままです。
けれど、その出来事につけた意味は、置き直せます。
「断れなかった=私の意志が弱い」
この意味づけを持っている限り、次に同じ場面が来たとき、身体は「弱い私」の形をとります。(委縮したり、辛いと感じたり)
同じ出来事を、こう置き直すこともできます。
「あの場を保とうとして、私は自分の分を後回しにしていた」
出来事は1ミリも動いてないけど、身体に蓄積される反応が変わります。
そして、次に同じような場面が来たとき、何が起きるか。
「あ、また自分を後回しにしようとしている」と、その場で気づけるようになります。
気づけたら、「今回は、自分を後回しにしない」と、その場で選べます。
自分が何をしようとしているかが見えるようになると、
選択できる場所まで戻ってこられる、ということ。
意味づけを置き直すと、無意識に自動で選んでいたものが、一度その手前で止まります。
その一瞬が、選び直せる余地になります。
私が星図を使うのは、このためです。
星図は、自分の性質や動機を、自分を責めない言葉で見るための道具になります。
「弱い」と呼んでいたものが、別の名前を持っていたと気づくことがあります。
名前がつくと、扱えるようになります。
そして、人から渡された意味づけも、無意識まで届きます。
幼い頃に繰り返し言われた言葉は、自分で選んだ意味づけと同じ場所に住みつきます。
何年も、何十年も。
むしろ、自分で選んだ覚えがないぶん、疑う機会すら来ません。
同じ理由で、人からもらった言葉に救われて、緊張が和らぐこともあります。
「そう言ってもらえた」
その一言で心が軽くなって、そこから何かが動き出すことは、実際に起こります。
そのうえで、INSCOPEは、自分で気づく形をとっています。
自分で見つけた意味は、その人の言葉のまま残ります。
次に同じ場面が来たとき、自分で意識できるようになる。
問いをお渡しし、自分の言葉で意味を書き換えていくことが出来るよう設計しています。
今日、ひとつだけ問いを。
今日、何か嫌だなと感じた場面があったら、そのあと自分が何と言って片付けたかを思い出してみてください。
自分の身体へなんて言ってあげたかな?
AIの時代だからこそ、最後に還る場所は、自分の内側。答えは、最初から、あなたの中にあります。
うさみちかこ(セラピスト歴27年・INSCOPE設計者)


